コナダニの炭化水素 Hydrocarbon synthesis by Asyigmatid mites
ダニといえばかゆくなる、アレルギーを引き起こす、小麦粉に沸いて気持ち悪いと、良い印象はもたれないと思います。しかし、本研究で使用するコナダニは人間にとって非常に有益な「炭化水素」を体表に分泌します。炭化水素は石油の主成分であり、特にコナダニのものは灯油やガソリンに似ています。この生合成の酵素遺伝子を大腸菌などの微生物に組み込み大量生産することができれば、新たなエネルギー資源とすることができます。本研究ではコナダニの炭化水素の生合成経路の解明と、酵素の遺伝子の探索を目的としています。
コナダニ以外の生物では炭化水素は脂肪酸→アルデヒド→炭化水素という経路で生合成しており、コナダニも同様の経路で生合成していると推測しました。そこでラベル体の脂肪酸を餌に混ぜコナダニに食べさせ、体表の抽出物を GC-MS で分析しました。するとラベル体の炭化水素が検出されました。つまり、コナダニも脂肪酸から炭化水素を生合成することが明らかとなりました。コナダニにおいても脂肪酸→アルデヒド→炭化水素と生合成することが予想されます。